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連載・ソウル(魂)、旅する。~地球直前のキオク

魂は幾度も転生してきた・・・。

そして、21世紀、転生の最終章がいよいよ始まった。

アセンションまでの魂の旅の様子を、感じたままに連載します。

PS.何の計画性も無いのでどうなるかわかりません。(゚▽゚*)

僕がこの地球に生れ落ちて二度目の夏だった。

蒸し暑く、朝早く目が覚めた僕は、この家の誰よりも早く起きた。

・・・まあ、この家の誰より僕が一番に起きるのはいつものことだけど。

この日は特段、早く起きたんだ。

だって、せみがみんみん鳴いてるし、また今日も公園でお砂遊びはいやだった。

もっと他のことがしたい、それをパパに気づかせるにはどうしたらいいだろう。

まだこの星に来て2年あまりの僕は、満足に言葉で通信できないから。

やがて、パパが起きてきて、キッチンで朝食のホットケーキを焼きだした。

パパのホットケーキはおいしいんだ。まあるくて外はかりっと中はふわっと。

熱いから ふうふうして食べるんだ。四角く一口大に切ってあるから

切り口から湯気がもくもく出ているんだよ。

僕の「本当のおうち」では、食べたいときに食べればいいんだ。

でも、「今度のおうち」ではとにかく食べろ、食べろ、と言われる。

おなか空いていなくても、食べなければならないみたい。

それが嫌なんだけど、パパの朝、作ってくれるホットケーキは大好き。

そのうち、お姉ちゃんが起きてきた。

パパがお姉ちゃんも食べなさい、と言っている。

お姉ちゃんはちょっとだけ食べて、後片付けをし始めた。

お皿を洗ったり、テーブルを拭いたり。

僕はソファーに座ってそれを見ていた。

片付けを終え、ソファーの僕の横にストン、と座ったお姉ちゃんは

窓の外に目をやり、「今日暑いね~」と言った。

お姉ちゃんはソファーに寝転がった。

僕もまねして足を投げ出した。ちょっと体制が悪くて寝なおした。

お姉ちゃんは、洗濯機をまわしながら書斎を行ったり来たりしているパパをしばらく見ていた。

僕もお姉ちゃんのまねをしてパパを見ていた。

正確にいうと、パパとお姉ちゃんを交互に眺めていた。

まあ、いつもの朝っちゃあ、朝だ。

このあと、いつもの公園じゃやだな、なんて思いは忘れていた。

・・・

お姉ちゃんは僕に振り返った。僕をじーっと見て、そうだ!っとなにかひらめいたそぶりをした。

お姉ちゃんは言った。

「ねえ、三人でプール行こう!」

・・・

パパが押入れからやっとの思いで探し出してきた僕の水泳パンツはきつかった。

もっと僕が小さいときに「今のおうち」のベランダのプールで入ったきりだったから。

僕は大きくなったんだ。

朝の光のさすリビングで、きつきつの水泳パンツを着た僕・・・。

パパは困っていたけど、僕はきつくてもいいからプールに入りたかった。

お姉ちゃんもそれを見てうーーんとうなっていたけど

「まあ、いいんじゃん?さあ行こう!」と言ってくれた。

僕はもううれしくてうれしくて仕方が無かった。

・・・

パパは運転で、お姉ちゃんが僕を抱っこしてくれて車は出発した。

え?プールはベランダじゃないの?

見慣れた道を車は走っていった。

公園に続く道だ。やっぱ公園なのか?

僕は不安になった。

今日は公園は嫌だよ。もっと違うことしたい。

でも「プール♪プール♪私も久しぶり♪」

とお姉ちゃんはうれしそうだ。

プールなのは間違いない。じゃあ、今まで僕が思っていたプールってなに?

・・・

複雑な思いでぼんやりしていると、「さあ着いた!」とパパとお姉ちゃんが言った。

・・・

むむむ?なんだここは?

何々?

ああ~パンツきつい・・・。

気がつくと目の前にプールが広がっていた・・・。

す、すげ~・・・。

視界に入りきらないような超巨大なプールが・・・。

僕はもう興奮を抑え切れなくて逆にだまってしまった。

お姉ちゃんがそんな僕を見てうふふ!っと笑った。

そんなお姉ちゃんにつられて僕は思わずにやっとした。

「息をのんでるね~声でないみたい!、でも見て!目が超キラキラだ~」と言った。

そんな~実況中継しないでよ~、は~でもそのとおり~。

「プールはじめてだもんね~」とパパ。

初めてなの?僕?プール。

そうか、「おうちのベランダのプール」と「プール」は違うのか!

夢中になって遊んだ。

プールは2個あって、一個は子供がいっぱいだった。

もうひとつは大人のプール。

パパとおねえちゃんは僕を順番に抱っこしながら

ひとりづつ、大人のプールで泳いでいた。

子供のプールと大人のプールは違った。

子供のプールは混んでいて色が薄水色で、大人のプールは空いていて濃い色だった。

子供のプールではパパと遊んだけど、お姉ちゃんは来なかった。

子供のプールは好きではないみたい。

子供のプール→大人のプール→子供のプール→大人のプール・・・

と繰り返した。

僕はどうしても大人のプールに入ってみたかった。

パパがばっしゃばっしゃと泳いでいるのをお姉ちゃんと僕は見ていた。

僕はどうしても大人のプールに入ってみたかった。

たまらず抱かれたお姉ちゃんの腕から乗り出してパパの方に身を乗り出した。

お姉ちゃんはプールのふちにしゃがみこみ「パパ泳いでるね~」と言った。

僕はさらに身を乗り出した。それにパパが気づいた。

おもむろに僕は大人のプールに入っているパパの腕の中にいた。

自らパパの腕の中に飛んでいった気がした。

子供のプールとは明らかに違う感触だった。

大人のプールは冷たかった。

しかし穏やかだった。まろやかだった。広かった。大きかった。深かった。

ほっとした。

・・・

「手,

離してみようか」

パパはプールのふちにしゃがんでいるお姉ちゃんを見上げて言った。

「うん、そうしてみたら」

2人は僕があまりに大人のプールになじみ、癒されているのが見てわかったのだろう。

パパは僕を解き放つようにそっと手を離した。

大人のプールに 

僕は 大好きなパパの手により 優しくそっと 

愛情の見守る中で自由になった。

・・・

その瞬間僕は思い出した。

地球に生れ落ちる直前のキオク。

・・・

★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜

なんとも言いがたい、偉大なる物に抱かれている幸福感。

このまま眠ってしまいたいような安心感・・・。

ママの中にいたのを・・・。

・・・

・・・

気づいたら僕はきついパンツを脱いで、いつものアンパンマンの服を着ていた。

プールは楽しかった。

でもじわじわと淋しさが僕を襲っていたんだ。

そういえば、ママは?

ママがいないことに気づいた。

もう長い長い間ママがいないことに気づいた。

夕陽ですらこの身を焦がすような、蒸し暑い蒸し暑い日だった。

つづく

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